「歌織、こっちにファックスきてるよ」
「はーい、ありがとうございます」
ファックスを受け取り、メールでも確認して印刷して決裁に回す。
弾き手のスケジュール、場所や時間、規模を確認していく。
それらと、予算に合わせて舞台予定を組んでいく。
それが毎日の仕事であり、イベントが続く11月から4月は忙しい。
その忙しい4月に、人事異動で私がサイタカオリとして理事兼部長になることが決まったのは、いや、内示として知らされたのは2月の始めだった。
すでに取締役会とグループ各社で構成する理事会、ほとんど親族だが、で承認されて人事部に箝口令がしかれている。