奏でるものは~第4部 最終章~



金曜日の定時後


本社の自分のブースにいると、内線がなった。


「用意できたか?」

「はい、もう行くわ」


兄からの内線。

退社を済ませ、玄関横の乗降場所から車に乗った。


「今回は地味だな」

「派手なのは断ったの。
去年目立ちすぎたから」

「作ってもらうんだから文句言うなよ」

「地味で十分」



それでも、黒のシフォンのブラウスのようなトップに切り替えでふんわりしたスカートのワンピース。
ブラウスの前見頃にきらきらとストーンが張り付けてあるようなデザイン。
胸元はVネックで真珠のロングネックレスを二重にしてつけている。

サイドの髪を下ろしてカールにして後ろはアップにしてもらっている。


「何を着ても似合うよ」

「心込めて言ってよ」



ハハハ、と笑う兄と喋っていると、会場に着いた。