完全に襖が閉じられ、両親たちの話し声も遠くなってから、優人さんをみた。
目が合ったまま無言の二人。
「……どういうこと?」
口を開いたのは私だった。
「いや。よく分からない」
「今日、お見合いって知ってたの?」
「ああ。会うだけでいいって言われた。
相手は知らなかったけど」
「私には黙ってたんだ」
「歌織だって、見合いするなんて言わなかっただろ?」
「私は、今朝知ったのよ。
10年位前にお見合いするかもって聞いたことはあったけど。
まさか、相手が優人さんとは思わなかった」
「今朝?」
プッと吹き出した優人さん。
「そうよ。今日の予定は空けておいてとは言われたけど、今朝呼ばれて行ったら振り袖着せられて、美容院に連れて行かれて、拉致されるように車に乗せられて来たのよ。
まさかの展開なんだけど。
この先の展開はどうなるの?」
「……俺次第?」
「どうして優人さん次第なのよ?」
「こうして、見合いになったんだから、もう結婚するのに障害はないだろ?」
「さあ?どういうつもりなのかわからないわ」
ちょっと機嫌が良くなったらしい優人さんを呆れたように見つめた。

