奏でるものは~第4部 最終章~



翌日は全社員に内示が発表されて、異動があった者もなかった者も、様々な異動に驚いているようだった。


「いつの間に、サイタさんになったの?」


隣の課の同期の那奈が話しかけてきた。


「生まれた時からよ」

「そうだったんだ。
ビックリしたわ。
なんか、急に遠い人になっちゃった感じ」

「あんま、変わらないよ」

「そーかなー?
ま、お祝いにあげるよ」

といつもくれるミルクキャンディを机に置いて行った。



「ちょっとショックなのかな?
歌織、気にしないのよ」

「ありがとう、彩月」



それからは、引き継ぎについてのスケジュール調整やイベントの打合せで1日が終わり、翌日からは本社での引き継ぎや研修、今の仕事の引き継ぎとイベントの準備に忙殺された。




姉の命日もゆっくりすることはなく、家の仏壇の前で手を合わせた。




24歳の4月。
入社3年目を迎えた