頬に涙がつたう。


目を開けているのが限界で、閉じてはいても。


瞼の裏には丞の最期の笑みが張り付いている。


穏やかで嬉しそうな、顔。



段々と温度が無くなっていく彼の体を抱えアタシはただただ涙を溢すだけ。




「…お前前に言ったよな」




いつの間にか部屋へと戻ってきていた土方が丞を抱えるアタシの腕ごと抱き締める。




「山崎は“最後まで俺を守り通す”って」


「……」


「皮肉にもその通りになった」




はは、なんて楽しくもないのに笑う土方にアタシの涙腺は崩壊する。




「俺に向けられた弾丸だった。
いち早く気付いた山崎が俺の横に立ち、その弾をうけた。
それも2発だ、弾は貫通したんだが弾の位置が近すぎて治るどころか化膿していく一方だった」


「……」


「自分の体は自分が1番分かります、多分長くは持ちません。…どうかアイツには秘密にしといて下さい。最期まで、アイツとは笑ってたいんです」


「…っ!」


「そう、山崎が言った」


「…フ、…ぅ」


「…馬鹿だよな」




本当だよ、本当に馬鹿。

でもそんな丞が凄く誇らしいよ。




「丞」




既に冷たくなった彼にアタシは話す。




「お前が守った命、俺が受け継ぐ。
だから…おやすみ

また、会おう…絶対」