「ったりめーだ!俺たちゃァ新選組だぇ?最強だからな!」
両頬を熱い体温に包まれる。
いつも触れる手よりも硬く大きな手。
「おいどけよ左之、俺を潰す気かっ」
「あーずるーい!私も入れてくださーいっ」
背中に加わる温度と重さ。
「無理せぇへんで下さいよ」
その背を支える者が傍らに座る気配。
「……お前いたのか」
無言で割り込んでくるまた違う気配。
「ちょっとー皆サン近すぎですー。しかも永倉さんなんてソコ!私もしてもらったことないのに!」
「小さい奴の特権だな」
「頭は愁んとこ、体は俺んとこ…おっ!俺達家族か!?」
「おい左之、その感じだともしかして俺を子供とか言うんじゃねーだろな」
「そーですよ、仮に家族としてこの場合愁くんは私の兄なので、原田さんは嫁ぐ事になるんですよ!」
「んなにぃ!?」
「あ、自分のことはお義兄さんと呼んでください」
「私は義妹ですね!」
「え、待って俺こんなゴッツイ嫁さん嫌なんだけど」
「…はじめぇ、コイツ等酷ェんだけど…」
「…うちの、愚妹が…迷惑をかける」
斎藤さん、まさかのそこポジション。
これには皆笑いが止まらなくて。
新八っちゃんの腕
左之の手
沖田さんの体
丞の声
斎藤さんの気配
皆どこか震えていたのがいつの間にか止まっていて。
そこは暖かい空間となっていた。
変わらずアタシの頭を撫でる手から、良かったなって声が流れてくる気がした。
悔しさと、やるせなさと、心配と。
きっと、さっきまでの皆の震えはそれを訴えていたんだ。
「なんですかこの手、邪魔です」
アタシの背にいる沖田さんはその手が気に入らないらしく、鬱陶しそうな声で弾いた。
案外強い音したけど、バシッて。
大丈夫かな。
「いっ、てぇな総司コノヤロっ…」
「わーん近藤さん助けて~」
「ふはははははは、しょうがないなぁ、反抗期か?」
「あはははっ…―――――」
本当に家族の様だった。
暖かくて、優しくて、楽しくて。
でも、皆がこうして触れ合って笑いあうのはこれが最後だった。