私はあの場所に、また居た。

それは、小学校にあった、校舎の奥にある誰も使わない便所だった。壁のタイルは古く、ほとんどが剥がれ落ちていた。トイレの隅には埃が溜まっていて、虫が何匹も床を渡る音が聞こえる。全て、嫌なほど馴染みのある光景だった。


じわじわと、恐怖が込み上がってくる。彼らがやってくることを知っているから。



予想通り、便所のドアがゆっくりと開き、ぞろぞろと気味の悪い笑みを浮かべた人たちが何人も入ってくる。どれも、見覚えのある顔だった。


私はとっさに逃げようとしたが、逃げ場なんかなかった。一人の男子が私の側まで来て、髪を荒く掴み、顔を近づけて言った。

「・・・お前、逃げようとしてんの?逃げられなことぐらい知ってるくせに。呼び出した理由は分かるよな。もう慣れっこだろ?」そう言って彼は私の腹を力強く蹴った。

「がはっ・・・!」私は蹴られたところを抑えながら倒れこんだ。

次は女子が前にやってきた。「真菜ちゃんは悪い子だから、わたしたちがお仕置きをしてあげてるの。良い子になったらお仕置きもしなくて済むのに、真菜ちゃんバカだからいつまでたっても良い子にならないんだよね。」そう言って私を見下し、鼻で笑った。


後ろで立って笑っていただけの人たちも私を囲むようにして、私は全方向から殴られ、睨まれ、服を破られ、蹴られた。



私は意識を保つのに必死で、彼らの笑い声さえ耳に届かなかった。





あぁ、死にたい。



繰り返し、そればっか考えていた。