「あ、そうだ。夕紀先輩」
前を進む康介が、スキップに急ブレーキをかけて、ぐるんと、この効果音がぴったりなくらいぐるんと、振り返った。
「え、何、急に。怖い」
「今って夏休み前じゃないですか」
夏休みって1ヶ月も先だけど。
「そうだね、それがどしたの?」
「運動部。いい写真撮れるかもしれませんよ」
にやり、これまたこの効果音がぴったりなくらいににやり、と口角を上げ不敵に微笑む。
「いいから、いいからぁ」
タメ口になったのはスルーしておく。
捕まれた腕もスルーしよう。
素直に康介に引っ張られることにした。

