「今日何撮るんですか?」
「とりあえずぐるっと学校回って、いい写真が撮れそうな所で何か撮る」
「何か、って。お供してもいいですか?」
「駄目って言っても着いてくるんでしょ」
「ありがとうございまぁす」
「よっしゃ」と嬉しそうにガッツポーズをする彼を横目にとぼとぼと教室を出る。
本当は一人で静かに撮りたいんだけど。
軽い溜め息をつくと、「あー、先輩、溜め息は幸せが逃げるんですよぉ」って、ばちんとウィンクする。
イケメンだから許されるけどさ。
ナルシストか。
わたしとは真逆に、スキップで前を跳ねて行った。
まあでも、康介は人気も人望もあるから自然と人が集まる。
康介と学校を回る日は高確率で裏庭に猫が来てくれる。
だから割といい写真が撮れるんだけど。

