「あ、夕紀先輩!」


「うげ」


「『うげ』って酷くないっすか?」



明るすぎる挨拶をして、今目の前でケラケラと笑う男子。


1年の沖野康介 (オキノコウスケ) 。


シュッとした輪郭に通った鼻筋。


一重が羨むようなぱっちり二重。


中学まではサッカーを一筋で体は引き締まっていて、本人いわく、腹筋はシックスパックらしい。


所謂『イケメン』の部類に入る彼が何故こんな地味な部活に入ったのかというと、


「将来は世界中を感動の渦に巻き込む写真家になるんです」


だとか。


サッカーの腕前もなかなかみたいで、彼が写真部に入部した時は、学校中がざわついた。


サッカー部の顧問と、なぜか写真部の顧問、小賀ちゃん (男) が会議で彼に尋問してたのを部長が見たって言ってた。


けど、写真家を志すようになった切っ掛けはいくら聞いても教えてくれない。