「こんにちはぁ」
遠慮がちにドアを開け、誰もいない物置みたいな小さな教室に挨拶をして、壁にかけてあるホワイトボードの森山の横に丸をした。
写真部は個人活動だから、出欠確認として、出席した証として名前の横に丸をつける。
教室の隅に置いてある扉のついてないロッカーに、バイトして貯めたお金で買ったお気に入りのカメラを取り出してから、鞄を押し込んだ。
ふぅ、と一つ深呼吸をする。
今日はどんな写真を撮ろうか。
どんな瞬間を撮ろうか。
にやける顔を元に戻して教室を出ようとした。
と、
「こんちはっ!」
と、写真部にしては明るすぎる挨拶でドアが開いた。

