「もう少し近くに行きましょうよ」
「え?あ、うん」
康介は平気なのかな。
自分で写真部を選んだとはいえ、元は入るつもりだっただろうサッカー部。
近くに寄っても気まずくなんないのかな……。
まあ、わたしが気にすることでもないか。
「先輩!」
と大声を出し、おいでおいでと手招きをする。
あー、もう、ほら。
また女の子が見てるよ……。
満面の笑みを見せられて、苦笑いするしかないけど。
無自覚で天然でやってるのか、それとも計算なのか。
こんな弟がいたら大変だろうなと、存在するかわからない康介の姉を心配した。

