「待っててくれたの?」
帰り道瀬川にそう聞かれた。
「うん、花音が健太くんの練習見たいって
いうからそれで。」
「そうなんだ。先輩待ってなくて良かったの?
頭撫でられてたじゃん。」
「え??あー、別に先輩はいいの。
私今日調子悪くてタイム出なかったから
先輩が心配してくれて頭撫でてくれただけだよ。」
「そうなんだ。てっきり。」
「違う違う。先輩からしたら妹のようなもんだからね。」
電車に乗る時だった。
「あ、待って舞浜。ここ座れ。」
「どうして?」
「いいから。早く座れ。」
電車で人が多いなか、瀬川は私を席に座らせて
まるで彼氏のみたく痴漢に合わないように
私を守ってくれて、前に立ってくれた。
ドキドキしてしまった。
辞めてよ、期待しちゃうから。
優しくしないでよ。
「舞浜、大丈夫か??」
「大丈夫。ありがとう。助かったよ。」
「毎日一緒に帰るか?安全だし、最近痴漢
多いって言うから。」
「いいの?だけど、彼女は?」
「今更?俺、彼女なんていないけど。」
「え!!!だって、去年、バレー部の美人な
美琴ちゃんと付き合ってたんじゃないの?」
「あー、告白はされたけど俺全く興味ないし。」
「そうなんだ。」
「お前だって彼氏いるんじゃないの?」
「いたら、あんたとなんか帰らないよね〜。」
「まぁ、確かにそうだな。」
一緒に帰ることになった。

