奏でるものは~第1部~



玄関で先生達を見送ると、


「唯歌すごいね」


と母がポツリと呟いた。



「歌織、ごめんね。
私、仕事戻らないと」


「うん、いってらっしゃい」


気持ちを切り替えたらしい母を、笑顔で送り出す。



それでも、あの日から明らかに痩せていく母の身体を心配せざるを得ない。


私の前では、明るくしているのだろうけど、本当は、両親が姉の前で泣いているのを知っている。


言葉で慰めることも、励ますこともできない。


悲しみを分かち合うには、どうすればいいのだろう。


両親の辛さは、想像を絶しているのだろう。


私は私らしく、生きていく、それだけしかできない。