奏でるものは~第1部~



残りの春休みは、お稽古をしたり、新学期の準備に費やし、いよいよ入学式を明日に控えた午後。


お客様ですよ、の内線で、玄関に向かうと、先日来た姉の友人2人と学園の先生たちがいた。


私の顔をみて、


「この度は本当に、大変でしたね。

今日、始業式で全校生徒に唯歌さんの訃報を知らせましたら、みんなで寄せ書きや、鶴を折って、是非届けて欲しいと言われましてね。

受け取ってもらえませんか?」


白髪で彫りが深く、穏やかに話すこの人は確か理事長だったな、と思いながら、


「ありがとうございます。

良かったら、姉に会ってやってください」


と和室に通し、嶋さんに母に連絡するよう小声で頼んだ。


今までの姉の担任や、部活動の先生など、きっちりとスーツを着た10人の教師と先日とは違って、姉も着ていた深い緑のブレザーの制服を着た、姉の友人二人が和室に入ると、姉の遺影にみんな見入った。



理事長から順に一人ずつ姉の前で手を合わせ、みんなそれぞれ姉のことを想う時間。


私も弔問客の斜め後ろに正座して一人ひとりに頭を下げながら見守った。