奏でるものは~第1部~




そんなある日、両親に呼ばれた。


リビングに行くと、


新しい学校のことだけど


と、父が切り出した。

「学校では、おばあ様の熊野の姓を名乗って欲しい。
学校にも連絡してある。
公的な書類は西田、だけど持ち物の名前や答案用紙には熊野歌織、と書くようにな。」

熊野、かぁ。

「意外でビックリした。

大丈夫。わかったよ

でも、字画多いじゃん。大変だよ~」


漢字を思い浮かべてというと、


「大変だな」
「本当だわ」

と笑う両親にちょっと、呆れた。


「それから、5月の日本舞踊の発表会、出るの?」


両親に言うのをスッカリ忘れてたことを思い出した。


「出たいと思ってるけど、いい?」


じゃ、手続きしとくわ、とあっさり承諾された。