親戚も帰宅した後、四人でリビングにいると、父が話し出した。
「唯歌は、歩道を歩いていて車にはねられた。
運転手は警察に逮捕された。
これからは裁判になる。
私達は明後日まで仕事は休んでいるがその後は仕事に行かなければならないんだ。
私達には社員がいる。
その社員も家族をかかえている。
その責任を背負っている。
なにもかも放棄して、唯歌を思うだけの生活はできない。
ただ、歌織が伝えてくれた唯歌の言葉に救われた。
悲しむだけでなく、前を見たいと思う。
唯歌のネックレスと指輪は棺にはいれられなかった。
歌織、唯歌の部屋に置いてきてくれないか?」
誰も、反論は無かった。
「唯歌の事故現場はどこ?」
兄が問う。
「△駅から国道に出たT字路だよ」
ビックリした。
「学園の近く?なんでそんなとこに?」
それがわからないんだ。
と小さく呟いた父が、寂しそうだった。

