奏でるものは~第1部~



在校生と職員と保護者がつくる花道を通って校庭に出た。


あちこちで、花束やプレゼントを渡す姿や記念写真を撮りみんな、何かを惜しんでいる。

ほとんどの人がこの学園の高等部に進むにもかかわらず、中等部の卒業の日を記念に残している。

私も学園の生徒としての最後の、今、の瞬間をたくさんの写真に残した。


校庭や、校門周辺の桜はまだ咲いてないが、ピンクの蕾が膨らんでいる。


桜の開花と共に新しい生活が始まる。

桜の蕾は、新しい生活が始まることを私達に教えているようだった。



だんだんと卒業生が帰り始めたころ、千奈美と美輝とそれぞれの両親と合流した。
みんなで食事に向かう。

校門を出る直前、振り返ってみると、いつもの校舎が見える。


ありがとう

笑顔で小さく呟いて心に焼き付けた。




大きなホテルのフレンチの店の個室を予約してあり大きなテーブルに座る。

両親たちも私達も話は尽きない。


賑やかで楽しい時間はあっという間に過ぎた。

春休みも映画行こうと約束をして、解散したのは夕方だった。