突然掴まれた腕から、柚希の熱が伝わってくる。






多分私の手はいま、すごく熱いと思う







『は、離して』






このままの状態でいたら、きっと、何もかも壊れてしまうよ。







「陽菜ちゃん、俺の話を聞いてくれ」







ねぇ、柚希はいつからそんな話し方をするようになったの?







やっぱり、私は何も柚希の事を知れてなかったの?







『話なんて聞きたくない…

いいから、その手を離して。』







これ以上苦しめないで。







柚希のその悲しい瞳の理由が分からないよ。






「陽菜、俺は。」







『急に陽菜なんて呼ばないでっ!』







そんな柚希知らない。






柚希と話すと、今まで何も知らなかった自分に悔しくなる。







『もう、私に関わらないで!』






柚希によって熱をもっていた手を、無理やり引き剥がした。