私達が一緒に過ごしてきたつもりだった日々は偽物だったのかなって。



だから、怖いんだよ。



柚希と向き合うのが、
柚希に近づく度に知らない柚希が増えていく気がして。



『私の知らない柚希は、後どれくらいいるの?』



「陽菜…俺はそんなつもりじゃなかったんだよ」



今のその言葉使いも私を不安にさせるの。


でも、その悲しい表情は何1つ変わっていないんだね。



知っている柚希を見つけられてもただただ悲しいよ。


私は悲しんでいる柚希だけしか知らなかったんだね。



笑っている、楽しんでる柚希を私は知っていたかった。



『本当の柚希を、知っていたかった!

本当の柚希を…
知れていなかった私は柚希の傍にいても辛くなるだけだよっ。』



自然と涙が溢れてきた。
さっきあんなに泣いたのに…



「陽菜っ!

俺は陽菜にそんなこと思わせようと考えてたわけじゃない!」



でも、結局私は傷ついた。
柚希だって傷ついているでしょ?



『多分私達は一緒にいると傷つくだけだよ。

だから、私は前に進む。』



好きだった。本当に大好きだった。



「俺は陽菜の事諦めないから。

だから、」



『じゃあなんで、彼女がいるの?』



なんで彼女がいるの。
今柚希がやってることは、最低だよ。