「それ、いいね」

葛西くんが指さしたのは1冊のノート。


紫色の柄のただのノート。


「そうかな」


平然を装って返答する。


ホントは、緊張してるのに。


「うん。可愛いくね?」

「…うん、可愛い」


びっくりした。びっくりした。

別に私に言ってるわけでもないのに。


ドキドキした。
ドキドキ、した?

自問自答を繰り返し
耳が赤くなってるのではと、心配して。

ついつい目線を下に落とす。

「……」

唇をキュッと噛んでひたすら下を向く。

しばらくすると彼も頬杖をついて前へ向き直った。

こんな時に思う。



私、やっぱり恋してるなぁ


って。



…バカみたい。