『ち、近くにガソリンスタンドとかも無いし、ロードサービスにも…登録してなくて…その…バッテリーを充電させて貰えたらなって思ってですねっ…?』 ちょっとした悪戯心が疼いて、わざと溜め息混じりに一言吐き出した瞬間、彼女が電話越しで慌てふためく様子が目に浮かんだ。 「幾斗には連絡してみたの?」 ー俺も素直じゃないなー。 『してみたんですけど、幾斗はお花見祭りの準備でマスターと市内会議に行ってるみたいで…』 へぇ、あいつにしては珍しいな。彼女が困ってるのにスルーか…。