『帰るって…もう夜中だし、お酒飲んだから車で帰る訳にいかないですよ?幾斗に言われて人数分の布団も用意したのに─』

キョトンと首を傾げて見上げた時、あまり見慣れない真剣にな眼差しがあって─。

「─違う。俺の実家に帰るって事。」

『…へっ?』

その言葉に目を見開いて言葉を失った。

「…親父がね、最近体壊したらしい。…別に危ない状態じゃないけど、でも…今まで通りにケーキ焼くのは難しいみたいでさ…。」

『……えっ…。』

「今は弟と母さんで、なんとか切り盛りしてるみたいなんだけど…母さんも心労と疲労が溜まってるみたいでさ。休む暇も無いから、体調崩しがちなんだって。」