すると私の視線に気が付いたのか、幾斗が苦笑いで失敗したと思われる黒焦げのスクランブルエッグが入ったフライパンを傾けて見せてきた。
『あはは…確かにぷすぷすだ…♪』
藤枝さんも嘆いていた割には何処か楽しそうで、冷蔵庫から新しい卵を取り出しては最初からの手順から丁寧に教えてる。
「これから息子の修行は大変そうだね。」
『あはは…でも、凄く楽しそうですよね♪』
…そう言えば…家庭科の調理実習で一番最初に作ったのって、スクランブルエッグだったな~♪
あの頃は失敗するのが怖くてお母さんに付いてて貰って一緒に作ったっけ。


