「へぇ♪まぁ俺にとっても幾斗は息子代わり、いや…もう息子同然だな♪」
「えっ……?」
冴木君は何故か目を丸くしてアイスココアに刺さっているストローをくわえたまま、藤枝さんを見上げた。
そう言えば藤枝さんって奥さんやお子さんは居るのかな?
前々から気になっていたけど…最初の頃は聞く勇気が無かったし…自分の事ばかりに無我夢中だったから、深い所はあまりよく知らない。
今なら…聞いても大丈夫かな…?
『…失礼ですけど、マスターは結婚されてるんですか?』
何気なく話を振った私はこの後、罪悪感を覚える事になるなんて思いもしなかった―。
「―してるよ。奥さんは天国に居るけどね。」


