『……良かっ…た…。』
「…納得してくれた?」
『うん…。』
フッと微笑みを溢すと宥めるかの様にキュッと手を握られて、その暖かさに安堵する。
「でね?この街に着いたのが夜中だったんだけど。お洒落なお店の光に自然と足を進めてた。それが、マスターの店でね。」
マスターのお店に辿り着いた話題になると彼の表情に哀しみの色は無くて、いつもの柔らかい微笑みが浮かんでいる。
「店の前通ったらポップに貼ってある料理が凄く美味しそうでさ♪
…でもその時に持ってたお金は500円しか無いし、諦めて帰るしかなかったんだけど…マスターは俺を招き入れてくれた。寒いから入りなって。」


