その寂しそうな表情に…冴木君が秘めている何かを知る時が来たのだと固唾を飲んで頷いた。 「ありがとう。…中三の頃に両親が離婚して俺は母さんに引き取られたんだけど…俺が18歳の時に他に男作って出て行った。 俺と二人で暮らしてた家を売ってね―。」 『…えっ…』 心臓の辺りを締め付けられ、一瞬呼吸の仕方を忘れてしまったかの様に私は固まってしまった。 それでも冴木君の口からは次々と言葉が次々と出てきて…私は黙って彼の言葉に耳を傾ける。