「お母さん…か…。母さん元気かな…?」
『…冴木君のお母さんは…その…優しかった…?』
「…………。」
この時、サァー……っと涼しい夜風が部屋を吹き抜けて俯いていた彼の髪をサラサラと揺らす。
髪の間から覗く瞳は若干だけど鋭く見える。
「ん…どうだろうね。あの人は、ほぼ家に居なかったし…いつも遊び歩いてたみたいだから覚えてない。…俺の事なんか気にもしてなかったんじゃないかな。」
『そう…かな…?』
「そうだよ。…ちょっと重たい話しても良い…?なんかちょっと苦しくなってきた。」
『うん、聞かせて欲しい……。』


