―コン、コン 『あっ、夕飯かな?…はーいっ!』 返事をして立ち上がると、襖が開いて可愛らしい雰囲気の女将さんがひょこっと顔を出した。 「お寛ぎのところ、失礼致します。お食事をお持ち致しました♪」 『ありがとうございますっ!お手伝いしますっ!』 「あっ、俺もっ!」 仕事の癖なのか、配膳物を見るとどうしても体が動いてしまう。 …それは冴木君も同じみたいで気が付けば二人して立ち上がって女将さんの方へと歩み寄っていた。