メープル*パンケーキ【2巻】*Happiness story*


両親が居ないって…まさか…?

『…亡くなっ―』

「―はい、月宮旅館着きましたよー。」

最後まで言い切る前にタクシーの運転手さんによって遮られてしまったけど…ある意味それはそれでタイミングが良かったかもしれない。

「あっ、はい!ありがとうございます。お代、お代っと―」

普段と変わらない声のトーンと、口調だけど…その横顔は寂しそうだった―。

「ふぅ~。お腹空いたね♪早くチェックインしてご飯食べちゃおう♪」

『……うんっ…。』

この日、私は冴木君の過去を知る事になるなんて思いもしなかった―。