「………。…じゃあ、早く俺の彼女放してよ。」 『…ふふっ…♪』 怒ってるのか、いじけてるのか。何とも言えない可愛い表情でじぃーっと藤枝さんを睨んでいる。 「はっ…ははっ、ひっ…!」 肩を掴む手はスルりと解かれ、脇腹をさすりながら定位置のコンロの前に戻って木ベラを手に構えた。 事務所の前に着くと背中をそっと支えられ、入るよう促され足を踏み入れる。 「鍵ちゃんと掛けてね?」 『はいっ。』 真面目な表情から一変、ちょっと物言いたげに距離を詰めてきたと思ったら―?