幻聴かと思った。
こんなところに秋がいるはずがない。
しかし腕を引っ張られて、私は間一髪で助かった。
おそるおそる目を開けると、私の下敷きになった秋がいた。
「お前…何やってんだよ、バカ!!」
呆然としている私を怒鳴る秋。
秋が、受け止めてくれたの…?
あんなにひどいことをした私を、助けてくれたの…?
頭の中でぐるぐると考えていたら、秋にきつく抱きしめられた。
「よかった…無事でほんとによかった……もう心臓止まるかと思った…」
秋の吐息が肩に当たる。
秋の安心した声を聞いて、私の目には涙が溢れていた。
「…ごめんなさい…ごめんなさい…」
謝罪の言葉を発するとともに、私は秋の身体を抱きしめ返した。