「俺はこの先、真咲を手放すつもりはない。だから考えた結果、継がないって決めた。決めたからには早く言っといた方がいいと思って」
「待て。もう少し詳しく説明しろ」
「もし真咲と結婚するってなった時には、俺が柚原になる」
「婿入りするってことか？」
「ああ。だから継げない」
俺はまっすぐに親父を見て、はっきり言った。
苗字は先祖代々受け継がれてくるものだ。
真咲には身寄りがいないし、兄弟もいない。
だから途切れさせるなんて、ご先祖様に申し訳ない。
そんな俺の決心は固い。
反対されても、説得し続けよう。
すると、親父はふうと息を吐いた。
