「秋」



ある日の朝、俺は登校して廊下を歩いていたら、誰かに呼び止められた。


聞き覚えのある声だな。


そう思って振り返ると、中学の同級生の紺堂美月がいた。



「美月……?」



「久しぶり」



「ああ。何?俺に用事?」



顔を合わせるのは卒業式以来だ。


俺は中2の途中で遊びを止めてから勉強して、そこそこ偏差値の高いこの高校に進学した。


比較的不良が多かった中学だったから、この高校に進む人は少ないと思っていた。


だから、まさか美月も同じ高校だとは思わなかった。