会計が終わると、真咲が店の出口の近くにあるイスに座っていた。



「おい、帰るぞ」



そう話しかけると、



「…うん」



力のない声で真咲が答えた。


……少し振り回しすぎたかもしれない。



「眠いのか?」



「…うん」



「おんぶしてやろうか?」



ただの冗談でそう言った。


すると真咲は、



「…うん」



とまさかの肯定。



「は?まじで言ってんの?」



冗談を本気で捉えられたと思って聞き返すと、



「……ん?何が?」



……何も聞いていなかったようだ。


だよな、正気だったらただのヤバい奴だ。