「真咲。はい、これ」 ベンチに座っていた私にココアを差し出す秋。 「ありがとう」 ココアを受け取って、一口飲んだ。 「さっき言ってたこと、俺のおかげ?」 「へ?」 「真咲が変わったの」 嘘、聞かれてたんだ。 「き、聞いてたの?」 「聞いてというか、聞こえたというか」 ……恥ずかしすぎる。 「そうだよ、秋のおかげ。秋が私に楽しさを教えてくれるんだから」 やけくそみたいに答える。