雛乃の耳まで真っ赤な様子に、燐太郎の心臓は暴れまわる。

「瀧島さん….」

「はっ、はい⁉︎」

「おれと、付き合ってくれませんか?」

燐太郎の顔は、雛乃が弓道部を見に行った時と同じ真剣な表情だ。

(うう〜那賀くん反則だよぉ)

「…はい」

「ほんとに⁉︎」

「うん」

「よっしゃー!ありがとう!」

燐太郎の満面の笑みにつられ雛乃も笑顔になる。

「こちらこそ。でも、私なんかでいいの?」

「瀧島さんがいいんだ!」

嬉しさ余る燐太郎はかなり大声だ。

(顔から湯気が出そう)

〈まじかぁ〜!まさかOKとは!ニヤけが止まんない〉

「あのさ、瀧島さん。」

「はい?」

「雛乃って…呼んでいい?」

「うん」

「雛乃もおれのこと燐って呼んで?」

「わかった…り、燐くん」

燐太郎は、恥じらいつつ自分の名を呼ぶ雛乃に心の中で悶える。

〈うぉぉぉおお!やっばい!破壊力半端ない!やばい!抱きしめたい!〉

だが2人の間の向かい合う机がそれを阻む。
仕方なく手を差し出す。

「これからよろしくね!雛乃!」

「うん!よろしく燐くん」






燐太郎の手を握り返した雛乃の手は、小さくて柔らかくて、温かかった。