少しして、今度は雛乃の手が止まる。

「わからないとこある?」

「うーん、式は間違えてないと思うんだけど答えが合わない…」

「見せて」

燐太郎が雛乃のノートを取ると、少し悩んだ顔で前髪をいじる。先程から、手が止まるたびに前髪を触っているので、考えるときの癖なのだろう。

(那賀くんの癖発見)

雛乃の胸に小さな喜びが湧き上がる。

「……この積分だと、6分の1公式使ったら解きやすいと思うよ」

「なるほど!ありがとう」