「那賀くんは?坂崎くんと仲良いんじゃないの?」

「あぁ綾人?あいつは中学からの付き合いで親同士も仲良くて…」

「へ〜親同士仲もいいんだぁ」

燐太郎の目の端に車がうつった。

「おかげでお互い情報が筒抜けだよ」

燐太郎は苦笑して言う。

「ふふ、そうなんだね。…わぁっ!」

俯いて話していた雛乃は燐太郎に強く腕を引かれた。よろけた雛乃のすぐ横を結構なスピードで車が通り抜ける。

「危ないなぁ!」

燐太郎は車の後ろ姿を睨みながら呟く。

〈普通の道で出すスピードじゃないだろ!ほんとにこの辺は荒い運転の奴が多いよな!〉

(う、腕!那賀くん腕!)

雛乃は腕を引かれるまま横移動したので、後ろから燐太郎に両腕を掴まれた格好だ。

「あ、ありがとう」

雛乃がドギマギしながらなんとかお礼を言うと、燐太郎は自分たちの状況に気づき慌てて手を離す。