理由のない恋

(わぁ〜!どうしよ〜!)

〈西村さん!ありがとう!〉

「帰ろうか」

「う、うん」

かなりギクシャクしたまま2人はスタジオを出る。

「瀧島さんさ」

「はい⁉︎」

「ぶはっ!反応良すぎ!」

「えっあ、ごめん」

間髪入れずに返事をした雛乃に、燐太郎は思わず吹き出す。

〈瀧島、反応面白いな〉

(うう〜恥ずかしい…)

「下の名前、雛乃っていうんだ」

「うん…那賀くんは?」

「おれ?おれは燐太郎。けどみんなだいたい燐って呼んでる」

「そうなんだ…」

また沈黙…

(話!なんか話さなきゃ!)

〈続かない話題振ってどうすんだよおれ!〉

「「あの…」」

2人の声が被る。

「えっ、なに?」

「ううん、大したことじゃないから!那賀くんは?」

「ん〜、おれもあんま大した話じゃないんだけど」

「大丈夫!なに?」

「おれさ、弓道部なんだ。」

「うん」

「中2のときに、兄貴の弓道の試合を観に行って、めっちゃかっこいいって思って弓道部入ろうって思ったんだ。」

雛乃の脳裏にあの日の燐太郎の姿がよぎる。

「お兄さんいるんだね」

「うん、3つ上のね。で、おれはそんな感じで弓道部入ったんだけど、瀧島さんはなんで軽音部入ったの?」

「私は浩くんが誘ってくれたから…かな?」

燐太郎の胸にズキッと刺さる

「そうなんだ」

「うん。小学校のとき同じピアノ教室に通ってたんだけど、中学のときに浩くんは辞めてベース始めたんだ。それで、中学の時はあんまり話さなかったけど、高校で軽音部入らないかって誘ってくれたの」

「へぇ。羽柴とは仲良いの?」

燐太郎はなるべく軽く聞こえるように尋ねる

「え〜どうかな?他の男の子よりは仲良いけど…eternal関係以外では会わないしなぁ」

〈よし!〉

「そっか。他のメンバーは?」

「奏ちゃんと祐くんは軽音部入ってから出会って、祐くんは浩くんと同じ感じだけど、奏ちゃんはいつも一緒にいるくらい仲良くなれたかな」

そう語る雛乃の顔は幸せそうだ。