理由のない恋

「ちょっと〜何で那賀くんいるの?」

「いや、向こうから話しかけてきてくれたんだけど…」

浩史と祐輝と話す燐太郎を横目に、奏が雛乃の脇腹を小突いてニヤついた顔で囁く。

「そうそう!俺今日このあとフットサルの奴らとご飯行く約束してるから別で帰るわ!」

祐輝が奏たちに向かって言う。
そこで奏が何かを思いついたような顔で祐輝に頷く。

「はーい…あっ!そうだ浩!」

「なんだ?」

「次の塾模試の申し込みって今日までじゃなかった?」

少し間があいたあとで、浩史が閃いたのジェスチャーをする。

「ああ、そうだったな」

「9時半には塾閉まるから急がないと!」

「では俺らも別で帰ることになるな」

浩史が雛乃の顔を覗き込む。

「大丈夫だよ!1人で帰れるし」

雛がそう答えると奏が燐太郎に顔を向ける。

「那賀くんもう帰る?」

「うん。帰るよ?」

「もし電車で帰るなら、途中まで雛と帰ってあげてくれない?」

(えっ⁉︎奏ちゃん?)

〈よっしゃ、チャンス!〉

「いいよ」

「じゃあ、よろしく!」

「また明日なひなのすけ〜」

「じゃあな雛乃」

(えっ⁉︎ちょ、ちょっと待ってよ〜!)

雛乃の心の声とは裏腹に、いそいそと帰る3人。雛乃と燐太郎だけが残される。