寮は再び作業に戻り、わたしは陵の様子を見ていた。
「佳奈子ちゃん、ここ座っていいよ」
「あ、ありがとうございます」
持ってきてくれた椅子に腰掛けると、おじさんは別の作業をし始めた。
魔法みたいで、見ていて面白い。
お店にいる時も楽しかったけど、ガラス工芸をやっているのを見る方が面白い。
何ができるか想像がつかず、見ていてワクワクする。
実際に体験したけど、それでもまだ不思議。
ひと段落ついたのか、陵はエプロンを取りわたしの方へやってきた。
「お待たせ」
「ううん、見てるのも楽しかった」
「こっちは見られてて緊張したけどね」
「あ、緊張とかするんだ」
少し意外だった。
だって、そんな素ぶり見せなかったから。

