「じゃあ、わたしちょっと買い物に行っってくるわ」
梓さんは手を後ろに回し、エプロンの紐を解いた。
「わたしも手伝います」
「あ、いいのよ!買い物って行っても買うのは、食材じゃなくて日用品だから」
「でも…」
わたしに気を使って日用品しか買わないって言ってくれているんじゃないかと思い、少し戸惑った。
「じゃあ、晩御飯作るの手伝ってくれる?」
「はい!もちろん」
そう言われて安心した。
何か手伝っている方が、居心地がいい。
「晩御飯を作ってもらうのが、魂胆だろ〜」
おじさんが梓さんに言った。
「な、ち、違うわよ!」
慌てたように、梓さんが否定する。
「料理が下手なんだよ」
こっそりとおじさんがわたしに耳打ちした。

