「陵に負けないくらい、おじさんも好きだけどね」
そう言って、軽くウインクをした。
失礼だけど、こんなおじさんでもウインクなんてするんだ。
そう思うと、可笑しくて笑けてきた。
「佳奈子ちゃん、今日良かったら晩御飯食べていかない?」
キッチンの方から梓さんが大声で話しかけてきた。
「え、いいんですか?」
「もちろん!て言っても、まだなーんにも用意してないけど」
「そうだ、せっかくだから食べていきな」
おじさんも賛同して誘ってくれた。
「ありがとうございます。じゃあ、ちょっと親に連絡してきますね」
スマホを取り出し、電話をかけるために一度席を立ち部屋から出た。
お母さんは快く承諾してくれた。
「迷惑かからないように気をつけなさい」とは言われたけど。
由美の家でご飯を食べてくると思ってるんだろう。
家族ぐるみで仲がいいから、よくお互いの家にお邪魔してご飯をご馳走になることなんて日常茶飯事だ。

