ーーそのまま店内を見て回っていると梓さんがやってきた。
「なにか気にいる商品あった?」
「もう、たっくさん!」
「ほんと?よかった。そう言われると嬉しいわ。ありがとう」
そう言って、梓さんは続けた。
「わたし、上の部屋で待ってるからもう少し見てる?」
「はい!見終わったら上に行きます」
そう伝えると、梓さんは店を出ていった。
何分いても飽きない。
今までに感じたことのない空間にいて、まだ胸がわくわくしている。
この作品を人の手で作られているなんて、実際に目で見て体験もしたけど、やっぱりまだ信じられない。
カラスの愉快な鳴き声でふと店内から外を見ると、景色はすっかり橙色に染まっていた。
カゴに入っている商品のお会計を済ませ、わたしは2階に上がった。
お父さんとお母さんには共通で置物を、由美にはキーホルダーを買った。
馬の形をしたその置物は、わたしの目を引いた。
少し高かったけど、家族で一つだから別にいいかな、なんて思って奮発した。
ガラス張りの本棚に入れたら、きっと可愛い。
いや、玄関に置いても可愛いかも。
そんな妄想を膨らますだけで、ワクワクして楽しい。
梓さんが待っているというのを思い出し、慌てて2階に駆け上った。

