空に虹を描くまで



どんなことでも初めてすることはワクワクする。

失敗したらどうしようっていう不安もあるけど、いつもその不安を通り越して楽しくなる。


「じゃあ、はじめに模様を作っちゃおっか」

「模様?」

「そう、コップに模様あった方がかわいいだろ?」

おじさんはケースに入ったカラフルな小さなガラスを持ってきた。

「好きなように並べていいよ」

わたしは目の前にあるガラスの粒を眺めた。

これを見ているだけでも綺麗で目が奪われる。


わたしは手に取ってそれを台の上に並べた。

「できました!」

「お、いいんじゃない?じゃあ作っていこうか」

そう言うとおじさんは炉の中に長い吹き竿を入れた。

慣れた手つきで吹き竿にガラスを巻き取っていく。

もわっとした熱い空間の中、わたしは必死でその作業を眺めていた。

おじさんはくるくると手のひらで吹き竿を回しながら形を整えていった。

「ガラスを少し落ち着かせてから空気入れてもらうからな」

ちらっと横目でわたしを見て言った。


「は、はい!」

ガラスが光り、眩しいくらいに輝いている。

緊張で手に汗が握った。

「よし、次は空気入れだな」

おじさんの合図と共にわたしは吹き竿の前に近づいた。

汗が頬を伝ったのがわかる。

ポタリと地面が濡れたのと同時にわたしは息を吸い込んだ。


回しながら思いっきり空気を入れていくと、少しずつガラスが膨らんでいくのがわかった。