「そろそろ戻ろうか」
「え!?もう?」
まだ入って5分くらいしか見ていない。
それ以下かも。
商品もほんの一部しか見れていない。
「多分、もう準備できたと思うし」
「あ、そうだね」
そう言われて、梓さんたちを待たせていることを思い出した。
まだまだ見足りないけど、今回は諦めよう。
お店だといつでも開いているだろうからまた来たらいいし。
「また後で見にこればいいよ。隣だし。完成図があった方がイメージしやすいと思ったんだけど、そんなに気に入ってくれるなら初めに言っとけばよかったな」
「うん、後でまた見に行きたい。あんな綺麗な商品を作ってるんだって勉強になったし、一瞬でも連れてきてくれてよかったよ、ありがとう」
「よかった」
わたしたちが元の場所に戻ると、梓さんと運転をしてくれていたおじさんが待っていてくれた。
「おかえり。じゃあ早速だけど、これ着てくれる?汚れるといけないから」
そう言って渡されたのは青色のエプロンだった。
わたしは制服を着たままだったし、白シャツだから汚れたら目立つ。

