「さ、着いたよ」
車は道路の端に停まった。
「先に入ってて」と言われ、わたしはお礼を言って車を降りた。
陵が車から出てくると、車は駐車場に入っていった。
「こっち」
そう言う陵の後ろを3・4歩遅れてついて行った。
ドアの前に着くと、陵はポケットから鍵を取りだしドアを開けた。
「おかえ... って陵ちゃん!いらっしゃい」
部屋の中から声が聞こえ中を覗くと、一人の女の人が迎え入れてくれた。
長い髪を後ろにまとめていて、服装は決して綺麗とは言えないけど、見るからに職人さんという感じでかっこよかった。
「こんにちは」
陵の後ろから顔を出して挨拶した。
「あ!あなたがもしかして佳奈子ちゃん?」
「はい、そうです」
「きゃー!噂通り可愛い子じゃない!」
そう言いながらわたしの両手を掴んできてぶんぶんと振った。
「う、噂?」

