「でも、そのうち付き合うんだろ?」
わたしの言葉に突っ込んで聞いていた。
「ほら、時間勿体ねーだろ。さっさと行こうぜ」
陵はその質問をスルーした。
「ちぇ、面白くないなー」
サングラスをかけ、前を向いてそう呟いた。
わたしはその様子を面白く見ていた。
恋バナが好きな人はいつまで経っても好きだ、って誰かがテレビで言っていた。
ただ単に、陵やわたしをからかって遊んでいるだけだのかもしれないけど。
「お嬢ちゃんが、佳奈子ちゃん?」
「あ、はい。そうです」
「へー」
そう言って、ちらちらとこちらを見てきた。
何かあるのかな?
その後また「ふーん」と言って、納得したように頷き再び口を開いた。
「陵からいろいろ聞いたよ。ノートの件とか。クラスも違うし話す機会がなかったから、ラッキー…」
「おいっ!」
急に陵が叫んだ。
驚いて肩が上がった。
ルームミラー越しに睨んでいるのがわかる。
まるで、それ以上言うな、とでも言うように。
「ごめんごめん」と笑いながらおじさんは誤った。

