空に虹を描くまで



運転席に座っている人はサングラスをしていてよく表情がわからない。

「あの、ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」

緊張しながら声をかけた。

すると、サングラスを額にあげてばっと後ろを振り返った。

「おう、良いってことよ」
笑顔でそう言った。

その言葉を聞いて少し緊張が解けていった。

よかった、優しそうな人で。
サングラスをしている人って、ちょっと怖いイメージがあったからビビっていた。

でも、考えるとお父さんも車を運転するときはサングラスをかけている。

運転するときに眩しいのを防ぐためらしい。


「陵がかわいい彼女連れてくるっていうから、張り切って迎えにきちゃったよー」

ニヤニヤと陵とわたしを見ながら言ってきた。


かわいい彼女。

頭の中でその言葉がリピートされる。


「や、違います。彼女じゃないです」
慌ててわたしは否定した。